2022.07.31 コラム
バラの香気成分「フェニルエチルアルコール」の働き
多くの方を魅了するバラの香りは、ゲラニオールやシトロネロールなど、様々な香気成分から構成されています。
そのうち、代表的な成分のひとつ「フェニルエチルアルコール」。最近の研究によると、このフェニルエチルアルコールには、抗うつ作用があることが明らかになりました。
〇フェニルエチルアルコールとは?
「フェニルエチルアルコール」は、「フェニルエタノール」などとも呼ばれる芳香族アルコールの一種です。無色の液体で、バラ、カーネーション、ヒヤシンス、イランイラン、セラニウム、ネロリといった、天然のさまざまな植物の精油に含まれます。
○フェニルエチルアルコールの抗うつ効果を確認
川崎医療福祉大学医療技術学部の上野浩司講師(神経生理学)らの研究グループによると、フェニルエチルアルコールを吸わせたマウスは、ストレス環境下でうつのような状態になりにくいことを確認したといいます。
実験では、密閉空間で15分間フェニルエチルアルコールを吸わせたマウスと、何もしていないマウス(各10匹ずつ)のしっぽをそれぞれテープで固定し、逆さづりのような状態にして10分間放置。うつ傾向を示す行動で、あがくのをやめて動かなくなる「無動時間」の長さを観察した結果、通常のマウスは動かなくなる時間が平均して約8分間あったのに対し、フェニルエチルアルコールを吸わせたマウスは2分~1分半短かったとのこと。
研究グループでは、フェニルエチルアルコールがストレスを緩和させ、抗うつ作用を発揮することを示した結果だと分析しています。
※こちらの研究は、2018年11月フランスの英文科学雑誌「Biomedicine & Pharmacotherapy」の電子版に、論文名「Anti-depressive-like effect of 2-phenylethanol inhalation in mice.」として掲載されました。
○フェニルエチルアルコールのその他の働き
別なチームの研究では、その他にもフェニルエチルアルコールの働きで、ミツバチやスズメバチの攻撃行動が抑えられたという結果も発表されています。
人間に対しても、ストレスに対する心と体の緊張を和らげる効果が期待できます。
また、化粧品成分として、香料、その静菌作用から防腐剤にも利用されています。
○ローズウォーターに含まれるフェニルエチルアルコール
実は、このフェニルエチルアルコールは、ローズウォーターの香りの主成分でもあります。
新鮮なバラから作られたローズウォーターには、フェニルエチルアルコールの含有量が多いといいます。その為、香りが良いだけではなく、防腐効果も発揮してくれるそうです。天然の防腐剤として、化粧品などの原料としてもピッタリですね。
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